改正風営法で「色恋営業」が禁止?ホストクラブ・キャバクラはどう変わるのかを行政書士が解説
2025年5月、風営法の改正案が国会で成立し、ホストクラブなどにおける「色恋営業」に対する規制が明確化される見通しとなりました。
この動きは、ホストクラブにおける悪質な営業(客の恋愛感情に付け込んで過度な売上を狙う行為)への社会的な批判の高まりを背景としています。
この記事では、
- 改正の内容と背景
- 色恋営業とは何か?
- キャバクラや他の接客業への影響
を行政書士の視点からわかりやすく解説します。
改正風営法のポイントとは?
2025年の改正では、以下のようなホストクラブでの行為が規制対象とされます。
規制対象となる行為(案)
- 客に対して虚偽の料金説明(例:「今日はお金いらない」「持ってるだけでいいよ」)
- 恋愛感情を利用して、高額な売掛や継続的支出をさせる行為
- ストーカー的接触や売春を誘導するような発言
→ これらは「困惑させ、畏怖させることによって自由な判断を妨げる営業」として、禁止される方向です。
そもそも「色恋営業」とは?
「色恋営業」とは、ホストやキャバクラの接客従業員が、客に対して恋愛感情を抱かせ、営業成績につなげる手法です。
- LINEで個人的にやりとり
- デートやアフターに応じる
- 恋愛感情をちらつかせて高額注文を促す
→ 従来はグレーとされ、業界内では“営業テクニックの一種”とされてきました。
なぜ今回ホストクラブが規制対象に?
背景には、
- SNSやYouTubeでのホス狂い被害者の告発
- 自殺・失踪・売春への誘導など社会的被害の可視化
- 若年女性に対する過度な心理的支配
といった深刻な事例が続出したことがあります。
行政はこれを「営業としての逸脱」と判断し、改正に踏み切ったと考えられます。
キャバクラ・ガールズバーは規制対象外?
現時点では、改正の主たる対象は“ホストクラブ(男性接客業)”とされており、
キャバクラ、スナック、ガールズバーなどの“女性接客業”は明示的な規制対象とはなっていません。
ただし、
- 実態がホスト的に運用されている場合(逆接客・男性客の依存を誘う等)
- 今後の政令・指導で「類似営業」として拡張される可能性
は十分にあるため、業界全体が注視するべきテーマです。
「色恋営業」と「通常接客」の違いは?
項目 | 通常接客 | 色恋営業(規制対象) |
---|---|---|
会話 | 明るい雑談中心 | 恋愛感情を誘導する言動 |
連絡 | 営業時間内が主 | 私的なLINE・デート誘導 |
支出 | 客の判断に委ねる | 恋愛感情を利用して強く誘導 |
嘘 | 基本なし | 虚偽の料金説明などが問題 |
→ 「演出としての恋愛感情」から逸脱し、“精神的コントロール”に及んだと判断されれば、違法の可能性があります。
店舗側・従業員側が注意すべきこと
- 接客マニュアルに“過度な個人的接触・誤認誘導の禁止”を明記
- 連絡先交換やアフターを指示・推奨しない
- 曖昧な恋愛表現の管理(SNS・営業トーク含む)
- 教育体制を整えることで、行政からの監視対象とならないよう工夫を
まとめ:色恋営業の時代が終わる?
今回の改正風営法は、ホストクラブ業界への規制強化を象徴する一歩です。
キャバクラや他の接客業には現時点では直接的な影響はありませんが、
「恋愛感情の利用」が営業手法として問題視される時代に入ったことは明らかです。
業界全体として、“顧客に誤解を与えない健全な接客”を意識する必要があるでしょう。
※本記事は2025年5月時点の報道・法改正内容をもとに構成しています。最新の法解釈や地域運用は行政書士または所轄警察署へご確認ください。